佐野市O様邸【MONICA】

小屋のある家

 
  • こだわりの白い外壁にイエローオーク色の大きなウッドデッキが良く映える。一部屋に匹敵する広いデッキに屋根がかかると、もうそこは 外なのか中なのか区別が難しい空間だ。雨の日にリビングの掃出し窓から外に出ても一切の不便はないし、カンカン照りの真夏にはリビングに差す暑い日差しを遮ってくれる。外観の美しさだけではなく、本物の愛すべき「デキルヤツ」なのだ

  • あえて選んだ長閑な場所での、のんびりした暮らし。庭の芝生はDIY。建物の奥には畑があり、季節の野菜を育てる楽しみが増えた。何かを自分の手で育てたり工夫してみたくなる、そんな毎日だ。暮らしを愉しむ大人と一緒に成長した子供たちは、きっと自分達も手仕事を当たり前のようにこなすだろう。モノの大切さや時間の過ごし方、お金では買えないもの。教えごとではない何かがそこにある

  • 家族揃っていくキャンプは、日々の忙しさから解放される特別な時間だ。時間のすれ違い、ココロのすれ違い、色んなことから解き放たれる。のどかな場所を選んだのには、キャンプ道具を収納する小屋が欲しかったのも理由の一つだ。増えていく道具は、ワクワク感を増幅させるだけでなく、家族が同じ方向を向くためのアイテムでもある。それらをメンテナンスする時間は、道具を可愛がっている様で実は家族を愛していることかもしれない

  • 狭い空間が秘密基地感を醸し出す。小屋の中にテーブルと椅子があったら、そこは笑顔が絶えないカフェになる。吹き抜けたリビング、自然の中のキャンプ場、寛げる寝室...そして小屋の中の椅子。順位をつけられないお気に入りの場所である。久しぶりに入ったら、棚に妻のモノが置いてあった。僕の空間にいつの間に入り込んだのかと彼女の顔をちらりと見ると、いたずらそうに笑う顔に 何も言えなくなるんだ

  • 吹き抜けた勾配天井のリビングで、肌触りが優しいパインの床に ゴロンと寝転びたくなる。シーリングファンが 風に揺れる葉っぱのようにクルクル回り、梁につけたスポットライトが壁や天井を照らす。何も考えずに、頭を空っぽにして眺めていたい。いつもは饒舌なアナタと同じ空間にいながら、別々のことをしている そんな時間も愛おしい

  • 海外の地下鉄を思わせるサブウェイタイル。ディスプレイ用に取り付けた棚には間接照明を施して、リッチな雰囲気を演出している。基本的に白が好き。何色にでも染まりそうで、実は何にも左右されない硬い意志を感じる。清楚な感じに見せておいて、本当の強さは内に秘めている。照明とはまた違う高窓からの光が、色んなモノの仲介役

  • 元気が出るビタミンカラーを取り入れたインテリアは、目に入る度に背中を押してくれる。ほんの少しの可愛い悩みも、自分一人で考えていると大きく成長してしまいがちだが、この景色を見ているとちっぽけなことに思えて顔を上げることが出来そうだ。下ばかりを見ていては気付けないことの存在を教えてくれる。若い頃に夢中になっていたサーフィンを思い出したら、波の音が聞こえてきた

  • 玄関からリビングへの動線。リビングから水廻りへの動線。家族それぞれの生活スタイルを尊重しながらも、やっぱりみんなが自然と集まってくるリビングが居心地が良い。広すぎず狭すぎず、物理的にも精神的もちょうどいい距離感がここにある。無垢の床や梁は年月を経て美しく色づき、その変化は家族の歴史の1ページを形づくる。目に見えないものを可視化してくれるようで、10年単位で将来が楽しみだ

  • 流行りのシューズクロークのように隔離せず、あえてのオープン収納。モノの居場所を作ったり、その存在をいつも把握しておくことは、それらを大切に扱うことにつながるだろう。アトラクションのエントランスを通過するようなこの場所は、気分のいい日はよりウキウキと、そうでない日は切替スイッチとなって、お気に入りの間取りである。この家で家族と過ごす時間は、自然と微笑みが浮かぶココロの充電タイムだと思う

  • 手に入れた流木を自分で加工して手摺りにした。天井の板張りが、ナチュラルな雰囲気で相性が良い。外に出かける時に必ず目にするこの景色。玄関ドアの横に設けた小さな窓から差し込む柔らかな光が「早く出かけよう」と誘導してくれているようだ。コンクリート打ちっぱなしにした土間は、きっとそのうち ひび割れたり汚れたりするだろう。ここだけの話、「その時」を心待ちにしている僕がいる

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